骨折

骨折とは漢字の通り、「骨が折れた状態」のことを言います。

その他の外傷と比較して症状が重いことが多く、適切な処置ができないと回復にも時間がかかってしまうことが考えられます。
こちらでは、処置方法をご紹介する前に、まずは骨折の原因や症状について詳しく確認していきましょう。

 

【完全骨折・不全骨折】

骨折は程度によって「完全骨折」「不全骨折」に分けられます。

 

・完全骨折

骨が完全に折れたもの。

 

・不全骨折

骨が部分的に傷ついたもの。 ヒビ、亀裂骨折、骨膜下骨折など。

 

【骨折の主な種類】

・外傷性骨折

いわゆる「ケガによる骨折」になります。
スポーツや日常生活における、転倒、転落、衝突、事故など大きな外力が身体に加わることで発生しやすくなっています。

 

・疲労骨折

繰り返しの外力が加わることで、骨折したものになります。
ランニングなどによって、脛骨（すね）、中足骨（足の指）に起こりやすいと言われています。

 

・病的骨折

骨粗鬆症やガンの骨転移によって骨がもろくなることで、小さい外力であっても骨折してしまった状態になります。

 

【骨折の固有症状】

一般的な外傷症状である「疼痛」「腫脹（内出血による腫れ）」「機能障害」以外にも、骨折には次のような固有症状がみられる場合があります。

 

・異常可動性

特に完全に折れたものは、関節ではない箇所で骨が大きく動いてしまう「異常運動」がみられることがあります。

 

・軋轢音

骨が離断している場合、骨同士がぶつかり合うことで軋轢音を触知できることがあります。
音が聞こえるというよりは、指にくずぐずとした感触を得る場合が多くなっています。

 

・転位と変性

完全に折れているものでは、骨が移動したり（転位）、見た目にも変形がみられたりすることがあります。

 

【骨折の全身症状】

骨折の程度によって、ショック症状や吸収熱を発症する場合があります。

 

・ショック症状

痛みや内出血、精神的なストレスから、ショック症状がみられることがあります。

ショック症状では、循環量が低下することでの「顔面蒼白」「手足の冷え」「チアノーゼ（唇が紫色になる）」「冷や汗をかく」「生あくび」といった症状があります。

 

・吸収熱

骨折による血腫が吸収される際に、「吸収熱」と呼ばれる37〜38℃程度の発熱がみられる場合があります。

 

【骨折を見分けるポイント】

これだけで断定できるものではありませんが、他の外傷と骨折を見分けるポイントには次のものが挙げられます。

※大きな変形がみられる場合は判断しやすいですが、ヒビや小さい骨の骨折であると捻挫や打撲と見分けることが難しい場合があります。

 

・限局性圧痛

骨折した箇所に限局した圧痛がみられます。
骨膜には神経が豊富に走っていますので、その他の外傷と比較しても非常に強い痛みを伴うことが多くなっています。

 

・叩打痛

離れた箇所をトントンと叩いた際に、痛みが響くようでしたら骨折をしている可能性が高くなります。

 

【骨折の併発症】

骨折の併発症としては、「関節の損傷」「筋・腱などの軟部組織損傷」「内臓損傷」「脳脊髄損傷」「血管損傷」「末梢神経損傷」などが挙げられます。

無理に動かすことで損傷が広がってしまうこともありますので、骨折が疑われる場合は患部を安静にすることが大切です。

上述しました骨折の症状がみられた場合、どのように対処していけばよいのでしょうか。
こちらでは、応急処置である「RICE処置」と「日常で行える対策」についてご紹介していきます。

RICE処置は骨折以外の外傷でも有効な応急処置になりますので、ぜひご確認ください。

 

【RICE処置】

●Rest（安静）

患部をなるべく動かさないようにして、安静にします。
包帯やバンテージで関節を固定する場合もあります。

 

●Icing（冷却）

腫脹が悪化しないように、患部を冷却します。
冷却には袋に入った氷水や、保冷剤を利用します。（冷やしすぎにはご注意ください）

 

●Compression（圧迫）

腫脹が広がらないように、患部をバンテージや包帯で圧迫します。
循環障害を起こす可能性もありますので、締めすぎにはご注意ください。

 

●Elevation（挙上）

腫脹が末端部分に溜まらないように、患部をなるべく心臓より高い位置に挙上します。

 

【日常生活で行える骨折対策】

ストレッチや筋力トレーニング、バランストレーニングを日常的に行うことで、転倒するリスクをなるべく下げるようにしましょう。
体幹を鍛えるスクワットや、片足立ちトレーニングは効果が期待できます。

 

【骨折の治癒経過】

●炎症期

強い炎症が起こる時期になり、骨折から2週間が炎症期の目安です。

 

●仮骨形成期

骨芽細胞が活動し、仮骨が形成され始める時期になります。

 

●仮骨硬化期

仮骨が硬化してくる時期になります。
形成期、硬化期で1週間〜数週間程度続くと考えられています。

 

●リモデリング期

仮骨が本来の骨に再構築されていく時期になります。
骨折の程度、骨折した骨によって期間は変わってきますが、受傷後は早くて3週間、長いものだと2ヶ月程度は回復までに時間がかかる場合もあります。

整骨院・接骨院では骨折、脱臼は保険が適用されます。
レントゲン検査は出来ませんが、専門の医療機関との提携体制がありますのでご安心ください。

骨折した場合はRISE処置（挙上、冷却、固定、圧迫）を行うと早期回復に繋がりやすく、初期の施術が大事です。